【負けられる強さ】


「あんたまだ手続き慣れとらんなあ。普通書類送るやろ?」
 
(いえっ、もう14年この仕事でご飯いただいてますけど?)
(書類送りつけたら、大概の人は怒りますよ)

 
「お前、弁護士法違反やろ?」
 
(別に紛争性ないし、状況の説明してるだけなので弁護士法関係ないですよ)
 
「何で司法試験受けんかったんや?」
 
(勉強大変そうだし、刑事事件とかやったら精神病みそうだし)
(今となっては、受けなくて正解でしょ?)

 
 
しばらく前、ある相続人の方とこんなやりとりをしました。
 
何人かいる相続人の方のところに、私の依頼者と共にうかがって
相続発生の経緯、相続財産についてご説明をさせていただきました。
 
自分でもたまに反省するのですが、十分な説明をしようとすると
相手にとっては「まどろっこしい」と思われることがあります。
 
ただ、「まどろっこしい」と思われても、「この書類にハンコついて返送して」と書類を送りつけることはしません。
他の同業者のことは分からないけど、14年の経験から私はそう決めています。
 
冒頭のやりとりのように、遠慮会釈ない「直球」な物言いをされる方は、嫌いではありません。
交渉の相手方だったら、話が早い方が多いので好きです。
 
しかし、その時は交渉しに行ったわけではないので、少しやりにくかったですね。
状況を説明して相続手続きにご協力いただけるように、依頼者と共にひたすらお願いする立場ですからね。

しっかし、「ド直球」な物言いだったなぁ
 
交渉だったら、強気に攻めますが
お願いするときは、下手下手に出て「負けるが勝ち」を貫いています。
 
遺言書1通あれば、遺留分の問題はありますが、お願いしなくてもいいし
下手に出なくてもいい。
 
いつも書くことですが

「紙切れ(遺言書)1枚あったらな~」

とボヤキたくなることは少なくありません。
 
 
普通、負ける、ということはあまりいいことではありません。
 
プロスポーツ選手が負ければ、ファンをがっかりさせるし
私の仕事でも、例えば、交渉事で負ければ、依頼者の信用はなくすし、報酬も少なくなります。
 
でも、時として「負ける」ということは、強い人にしかできないことなんじゃないかなと思います。
私は、昔、「負ける」ことができませんでした。
 
自分に困ったことや弱いところがあっても、人に頼りたくないし見せたくない。
だから強がって無理をしていました。
 
「人に頼ったら負けだ」
「弱みを見せたら負けだ」
「人に迷惑かけたら負けだ」


いつもそう思っていました。
可愛げないですね。

自分のできないこと、弱いところを認める「強さ」とか「器の大きさ」がありませんでした。
 
いつも、人との「勝ち負け」ばかり考えていて
自分が勝てばうれしいけど、負けていても負けを認めず、相手を批判することで優越感に浸っていました。
 
でも、ひょんなきっかけで出会った人たちのおかげで、自分の「器」が段々大きくなり
少しづつ「負け」られるようになりました。
 
・自分は案外何もできない
・出来てると思ったら、それは人のおかげだった
・迷惑かけられないのは、その人を信頼していないからだ

 
全然「勝」っていなかったことに気がついた。
 
「負けだらけ」
 
・俺だけだとできないから手伝ってくれますか?
・自分の代わりにやってくれて、いつもありがとう
・〇〇さんなら安心して任せられます。

 
負けることができるようになってから、仕事も人間関係も好転しました。
 
欠点や弱いことを見せた方が、人に好かれるし共感されやすい。
 
何でもできて、非の打ち所がない人って、何か嫌やん?
実際の非の打ち所がない人はまだしも、非の打ち所がないように「装ってる人」は負けられないような気がします。
 

「も少し負けることができたら人に好かれるのにな~」

私がそう思う人けっこういます。
 
「負ける」って勇気いるから、「勝ったつもり」になっていた方がその人にとって楽なんでしょうね。
 
勇気出して一回「負け」ちゃえば、楽になるんだけどな。

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by 073995332 | 2016-02-05 21:06