【初婚ですか?再婚ですか?】
「年末里帰りした際、ご両親にこう聞いてください」
「お父さんとお母さんは初婚だった?」
年末、異業種交流会「BNI」のプレゼンタイムで、メンバーにこうお願いしました。
・・・だいぶ失礼ですね、私。
初婚なら大丈夫ですが、再婚でしたら将来的に考えて頂きたいことがでてきますよ、
というのがプレゼンの趣旨です。
ご両親のどちらかが再婚で、先妻(先夫)との間に子どもがいて、再婚だった方が亡くなった場合
先妻(先夫)の子どもも相続人になります。
場合によってはあったこともない方に連絡をとって、遺産分け(遺産分割)のお願いをしないといけなくなります。
仕事で相続手続きを多く扱う私であっても、そういったシチュエーションは頭が痛くなる。
そんな私でさえ頭痛いんだから、依頼者の方は相当つらいはず。
ご両親がお元気なうちに、腹違い(父親違い)の兄弟がいることが分かっているなら
遺言書を作っておいてもらえば、ある程度安心できます。
遺言書があれば遺産分割協議なくても、相続手続きができますから。
確かに「遺留分」の問題は残りますが、全く交流のない腹違い(父親違い)の兄弟が
自分の父(母)が亡くなった事を聞きつけて、遺留分請求をするというのは少し考えにくい。
ご両親がお元気なら、いかようにも手が打てる。
しかし、相続が発生してから「腹違い(父親違い)の兄弟」の存在が発覚することは少なくなく
相続手続きのために戸籍謄本を集めてみてビックリされる方もいます。
戸籍なんて、進学や就職の時に役所で取るくらいでなじみがない書類。
それに、親の戸籍なんて、相続手続き以外で見る人はまずいないでしょう。
また、ご両親も「離婚した先妻(先夫)との子どもは自分の相続人にならない」
と考えているかたもいるようです。
ちょっと論点がずれるのですが、昔
「自分の子どもを勘当して親子の縁を切りたいから手続きしてくれ」
というご相談がありました。
法律の手続きに「勘当」というものはないし、血縁は切ることはできません。
「相続廃除」という手続きはありますが、家裁の関与が必要で要件がかなり厳しいです。
<相続廃除とは>
被相続人が、民法892条の定めるところにより相続権を持つ人間に著しい非行の事実がある場合に、
家庭裁判所に「推定相続人廃除調停申立て」をすることにより推定相続人の持っている遺留分を含む相続権を剥奪する制度。
「腹違い(父親違い)の兄弟」がいても、快く相続手続きに応じてくれる方もいます。
そうでない方もいますが、話し合いの機会が持てれば解決の道は開けます。
しかし、認知症を患っていたり、行方不明の方がいたり、刑務所に入っていたりする人がいると、
「成年後見手続き」「失踪宣告」「不在者財産管理人選任手続き」など一手間二手間かけないといけません。
それらの手続きは、すぐにできるものではないし、費用も時間もかかる。
いろんなご事情があって、離婚、再婚をされるのでしょうが、配偶者との縁は切れても子どもとの縁は切れません。
結婚歴があって、先妻(先夫)との間に子どもがいらっしゃる方は、
後妻(後夫)、その方との子どもに迷惑をかけないように、早めに遺言書なりの手続きをされるようにお勧めします。
・・・しかし、「先夫」「後夫」なんて言葉あるのかな?