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【午後9時過ぎの電話と成年後見業務】


先日、午後9時過ぎに私の携帯がなりました。
私は、午後8時を過ぎたらよほどの事がないかぎり電話に出ません。
過去、何度かその時間にかかってくる電話に翻弄されたことがあったので、電話に出なくなりました。

今回は、司法書士会の研修後の電車の中だったのですが、電話の主は、私が後見人になっている方が入所している施設からでした。
電車降りて自宅に帰るまでにある店でビールを飲もうと目論んでいましたが、電話の着信を見て悪い企みもすっ飛んだ。

以前、成年後見業務を多く扱っている同業者から、施設の電話にたたき起こされ、夜中に施設まで飛んでいったとか

被後見人の方が亡くなった旨の連絡を受けたとか、夜中の電話に良い知らせはない、

と、さんざん聞かされていました。

着信があってから、電話を折り返すまでの私の頭の中は・・・

・「○○さん、先ほど亡くなりました」と言われたらどうしよう。
・少し前に会ったときには元気だったのに。
・とはいえ、いつ何があってもおかしくない年齢だったか。
・葬儀の手配、ご家族への連絡をせねば
・未解決のあの問題まいったなあ
・資産の整理もすぐにやらねば
・施設に行くかもしれないから、酒飲まなくてよかった


いくつもの悪いことが頭の中を駆け巡って、落ち着きませんでした。


成年後見人の仕事は、成年被後見人の財産の管理が主ですが、後見人の側で「私の仕事は財産管理だけです」と割り切ってしまうことが難しいです。

「これ後見人の仕事じゃないよな」と思うような仕事でも、本人やご家族のリクエストがあればやらざるを得ない。
例えば、被後見人に代わって「喪主挨拶」をするとか。

被後見人のご家族が遠方にいる場合に、被後見人が亡くなられたら、遺体の引き取りや葬儀の手配をしなければいけないケースもある。
病院だったら早くベッドを空けて欲しいだろうし、いつまでも遺体を安置してもらえるわけでもないですしね。

本来なら、成年後見人には本人の遺体の引き取り義務はなく,成年後見人としては,相続人などの親族に連絡し,遺体の引き取り等についての連絡の調整を行うことになります。


で、電車を降りてドキドキしながら施設に電話をすると・・・

「○○さん(被後見人の方)のお使いの歯磨き粉がなくなりましたので、施設で用意してもいいですか?」

・・・・そんなことを午後9時過ぎに連絡するか・・・・

日中に電話するとか翌日に電話するとかは出来なかったのか
緊急性の低い連絡は時間を考えて欲しい
そんな時間に電話されても困る


と、穏やかに施設の方にお願いしました。


成年後見業務は仕事として受任しているのですが、たまに、「私が被後見人を引き取ってお世話をしている」と誤解している人もいます。

いきなり、事務所を訪ねてきて、「○○さん(被後見人)をおみえですか」とか

日曜日にいきなり電話してきて「契約書に○○さん(被後見人)の署名押印をお願いします」という不動産管理会社もいます。

そんな方には、やんわりと、「成年後見業務ってのはね・・・」とご説明するのですが、なかなか難しいです。

日曜日に電話された方は、「ご家族(私のこと)は、平日は仕事で忙しいだろうから」って意図らしいです。
そもそも私は家族ではないし、業務を引き受けている司法書士です、といくら説明しても会社の中で情報を共有してもらえませんでした。
厳しく対応したら改善してもらえましたけど。

「成年後見制度」という名前は認知されるようになりましたが、内容についてはまだまだ理解がされていませんね。


成年後見人としての職務をする限り、誤解とか無理解とか午後9時過ぎの電話とかに頭を悩ませる日々が続きます。

【午後9時過ぎの電話と成年後見業務】_b0181744_18433748.jpg

by 073995332 | 2014-09-19 18:43 | つぶやき