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空気人形 映画

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「空気人形」

「心をもつことはせつないことでした。」 

「空気人形」とは、男性の疑似性交にもちいる人形



原作の漫画も知らず、何の先入観もなかったので、冒頭数分間はちょっと抵抗がありました。

が、冒頭数分間を過ぎると

「胸を締め付けられるようなせつなさ」に支配されました。

映画についての感想を、うまく文章化できませんので、劇中で引用された一編の詩を書いときます。


吉野弘「命は」

生命は
自分自身で完結できないように
つくられているらしい
花も
めしべとおしべが揃っているだけでは
不充分で
虫や風が訪れて
めしべとおしべを仲立ちする

生命はすべて
そのなかに欠如を抱き
それを他者から満たしてもらうのだ

世界は多分
他者の総和
しかし
互いに
欠如を満たすなどとは
知りもせず
知らされもせず
ばらまかれている者同士
無関心でいられる間柄
ときに
うとましく思えることさも許されている間柄
そのように
世界がゆるやかに構成されているのは
なぜ?

花が咲いている
すぐ近くまで
虻の姿をした他者が
光りをまとって飛んできている

私も あるとき
誰かのための虻だったろう

あなたも あるとき
私のための風だったかもしれない

by 073995332 | 2010-12-27 16:33 | つぶやき