【登記簿上の住所と最後の住所】

税理士から相続の仕事をいただくことがあります。

ひとくちに相続の仕事と言っても

①すべて司法書士に丸投げ(税金以外)
(1)相続争いしてしまってどうしようもない案件
(2)相続人間の争いのない案件 

②一部司法書士が関与(税金以外)


といろいろある。


司法書士として有難いのは①の(2)。

有難いのだけど少し慎重になるのは②

「う~ん」とうなるのは①の(1)
場合によっては弁護士にお任せして、私の代わりに「う~ん」とうなってもらうこともあります。

今回は②の「税理士と司法書士が関与しあう案件」で、最近あった事例について。

相続で、私たち司法書士だけが重要視する事項で「登記簿上の住所」と「最後の住所」というものがあります。
不動産の登記簿には、「所有者の氏名とその不動産を取得した時点の住所」が記載されるのですが、相続の場合、所有者の「登記簿上の住所」と「最後の住所」が一致しない場合が多々あります。
亡くなった時点で引っ越しして住民票を移していたら一致しませんよね。

あ、最後の住所というのは、被相続人が亡くなった時に役所でとれる「住民票の除票」という書類に記載されている「住所」のこと。

法務局の手続きって、書面だけで審査します。
だから、被相続人所有不動産記載の被相続人の「登記簿上の住所」と被相続人の「最後の住所」が一致しない場合には、法務局はそれが同一人物か判断できません。

被相続人のご家族が「同一人物だ!」と声を張り上げても、法務局は聞く耳を持ってくれません。
だって書面審査だけですから。

登記簿上の住所は「愛知県岩倉市~」で除票の住所が「岐阜県岐阜市~」でしたら一致しない。
一致させようと思ったら、住民票や戸籍の付票という書類で住所の変遷を証明する必要があります。

「愛知県岩倉市~」から「岐阜県岐阜市~」にいついつ住民票をうつしていることが(除票等の)書面上分かればオッケーです。

除票記載の住所と登記簿上の所有者の住所が一致し,除票に記載の本籍地と戸籍謄本の本籍地が一致すれば「同一人」ということになります

でも、除票でも戸籍の付票でも住所の変遷が分からない場合も珍しくありません。
「これどこの住所だよ!」と怒りたくなるような、どこの書類にも出てこない住所もある。

そんな時には、相続人全員が実印押して印鑑証明書を添付した「申述書」という書類を出します。

「ここの土地の登記簿に書いてある住所と最後の住所がどうしてもつながんないんだけど、書類も何もかんもなくてどうしようもないんだよね。住所つながんないけど、俺たち相続人全員で亡くなった人とこの登記簿に書いてある人が同一人物だって証明するから勘弁してよ」
超簡単に書くとこんな文面を申述書に書きます。

①の(2)の司法書士丸投げの案件で被相続人の住所の不一致があれば、申述書を単独で作ることはありません。
「遺産分割協議書」の中に、申述書に書く内容を盛り込んでいきます(※1)。

そうすれば、相続人が実印を押して印鑑証明書を添付する書類が一通で済みますので。


で、②の「税理士と司法書士が関与しあう案件」で税理士作成の遺産分割協議書見たら、住所不一致のケアがなされていなかった。
申述書に添付するために、相続人の皆さんに印鑑証明書を再取得してもらって悪いな、と思いつつ、私は申述書を作りました。
遺産分割協議書を作成した税理士には何の非もありません。


「これこれこういう事情で住所が一致しませんので、申述書に署名押印をお願いします。」
という文章を、申述書にお付けするのですが、なかなかご理解いただくのは難しいこともあります。


それはそうですよね。
私もそんなことどうでもいいじゃん、細かいな、って思うことありますから。


※1 素人の方が相続登記をする場合は、申述書の扱い、申述書に添付する書類については管轄する法務局へ事前にお問い合わせください。

※これはどこの県の統計なんでしょうね?
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by 073995332 | 2014-05-31 16:51 | つぶやき